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謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。

年は明けたものの、ここ北緯69度に位置する北ノルウェーの集落、石谷(Steindalen)、では初日の出を拝めるのはまだ数日先になります。北ノルウェー北極圏では、冬至の前後約1ヶ月は極夜となり、真冬には太陽が出ません。リュンゲンアルプスの麓にある石谷では、太陽が水平線から顔を出したとしても急峻な山々に遮られ、実際に山の端から日の出を見ることができるのは1月下旬になります。

 

 

極夜の時期には太陽は出ないものの、晴れていれば日中は街灯が消えるくらい明るくなります。しかしその時間は短く、空は次第にバラ色と深い空色のコントラストを作し、さらに辺り一面を透明度の高い暗い青色に染めるブルーアワーと呼ばれる時間帯を経て、午後2時には全くの暗闇となります。白い雪は極夜の時期の大地を明るく照らすのですが、今シーズンは記録的な暖冬で雪がほとんどなく、冬の暗さが一層深く感じられます。

 

石谷からフィヨルドを挟んだ対岸には、ノルウェー最北端やフィンランドへと続く主要道路が走っています。主要道路といえど街灯はなく、例年ならその道を走るオーロラ観光のバスのライトが暗い山陰にチラチラ見え隠れしているのですが、今シーズンはコロナのためで観光客はゼロ。対岸を照らすのは民家の疎らな明かりばかりです。昨年は新型コロナのパンデミックという、年初めには想像もしなかったようなことが起こりましたが、今年はそのパンデミックの終息と新たな持続可能な社会・経済形態への移行の年となることを期待したいものです。