北ノルウェーの文化


他民族の交流地

 フィンランド国境の町キルピスヤルビからノルウェー沿岸部に下ったところにあるシーボーテン(Skibotn)は、かつて、内陸と沿岸のサーメ、ノルウェーやスウェーデンの商人たちが集まる交易の場でした。1550年から1820年にかけて、交易の主流は南へのタラの輸出を主としたベルゲン貿易、フィンランド・スウェーデンの豪農からの穀類の買い入れ、ロシアとのポモール貿易の3形態があり、年3回市場が開かれていました。市場はまた、他民族・グループとの交流の場所でもあり、普段家族単位で移動している集団にとっては結婚相手を見つける格好の場でもありました。


ホロムイイチゴの国、北ノルウェー

 夏の終わりから秋にかけて、バケツを持って森に入っていく人々の姿をよく目にします。ノルウェーではブルーベリーやコケモモなどのベリー摘みが盛んで、季節になると一年分のベリーを摘んでそのまま冷凍保存したりジャムを作ったりします。コケモモの甘いジャムはノルウェーの肉料理には欠かせません。ノルウェーでは、他人の土地でも自由に入ってベリーやキノコを採ることが公共の権利として保障されています。ベリーの中でも、大地の黄金とも呼ばれるホロムイイチゴは人気は高く、収穫の多くは北ノルウェーであるので北ノルウェーは「ホロムイイチゴの国」と言われています。ホロムイイチゴの国では、摘み取ったものをその場で食べることはOKですが、持ち帰るには地主の許可が必要となります。


国を支えたタラ漁

 ノルウェーは、千年以上の歴史を持つロフォーテン諸島の鱈漁によって国家を築いた漁業立国です。ロフォーテン諸島をはじめ、北ノルウェーの海岸線では、未だに伝統的な漁労風景が見られ、中世の漁村文化の面影をいまだに垣間見ることができます。漁労効率の向上から一時資源の枯渇が問題となりましたが、漁労体制の合理化と資源管理の徹底により、持続可能な産業としての漁業を再び発展させました。

 1970年代の北海油田にはじまる石油産業の台頭により、水産業による国家収入の割合は大きく減少しましたが、北ノルウェーにとっては水産業はいまだに重要な産業です。バレンツ海では石油産業と漁業の共生に成功していますが、タラの産卵場であるロフォーテン地域での油田開発計画に疑問を呈する声は大きく、大きな議論に発展しています。近年では、鮭をはじめとする養殖業が漁撈による収入を上回り、これまで北ノルウェーの経済を支えてきた小型船による漁労者人口は減少し、水産業のあり方に変化が生じています。

詳しくは---> READING STUFF、水産関係 https://cms.e.jimdo.com/app/sdafb9d046fad4d8f/p822a3e6c949cdb41?cmsEdit=1


ノルウェーニット

  北極圏にしては温暖とはいえ、氷点下で風に吹かれると寒さはひとしおです。北国の寒さには何と言ってもウールが一番。冬が近づくと、トロムソから自宅のある集落への長距離バスの中で、病院の待合室で、居間でテレビを見ながら、また、友人宅に集まっておしゃべりをしながら編み物をする光景が見られます。そんな北ノルウェーの編み物事情を、トロムソ在住のChisatoさんとMaiさんが、原毛の調達や草木染めなどを交えて発信しています。

詳しくはこちら -->http://amustrikkefratromso.com