シベリアやグリーンランドなど、北極圏には多くの少数民族が暮らしています。スカンジナビア北部からロシア北西部にかけては、古くからサーメ(サーミ)人と呼ばれる先住民族が暮らしており、サーメの文化は北ノルウェーに大きな影響を与えています。ラプランドと呼ばれるこの地域がノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの4カ国に分断されたのちも、地域によっては現在でも国境を越えてトナカイの放牧が行われています。
サーメ人も地域によって言葉が少しずつ異なり、生活様式もトナカイを放牧して季節ごとに移動するグループから半農半漁で定住するグループなど様々です。ノルウェーでは、フィンマルク県のカラショックにサーメ人の政治機関であるサーメ国会(Sametinget)が存在し、サーメ人の権利保護や社会的地位の向上に努めています。フィンランドにも同様な機関が存在し、北フィンランドにおけるサーメ人自治が認められています。2月6日はサーメの日とされ、これは1917年にトロンハイムでサーメ人による会議が開かれことに由来します。この会議では、国境を越えてサーメ人の権利や文化について初めて議論されました。サーメの旗は、サーメ人の色である赤(=太陽)、青(=月)、緑(=自然)、黄(=動物)があしらわれ、円は太陽を表しています。