雪のない冬

 全世界で温暖化による影響が深刻になりつつ中、ノルウェーでも近年、洪水や雪崩・土砂崩れが多数発生しています。年末には南ノルウェーで住宅地の地盤がいきなり崩れて数件が土砂の中に消え、未だに行方不明者が見つかっていません。南部では軒並み氷点下が続く中、北ノルウェーでは、今年は1月になっても雪らしい雪がまるで降らず、3〜4℃という異常な暖かさが続いていました。過去20年ほどを振り返ってみても、クリスマスに北ノルウェーで雪がないという年は何回かありましたが、年が明けてからも雪が降らないことは珍しいことです。

 トロムソ島を南北に走る遊歩道は、冬には圧雪されてクロカンコースになり、スキーで犬の散歩や通勤・通学をする人を多く見かけます。しかし、今年は圧雪するほどの雪量はまだなく、スキーを履いている人はほとんどいません。トロムソのスキークラブでは練習らしい練習ができず苦労しているようです(写真はバイアスロンクラブ子供の部の年明け最初の練習風景。スキーは無しで、ジョギングとライフルのみの練習です)。平地には雪がないという一方で、山の積雪状態は非常に不安定で、雪崩の危険が以前にも増して深刻な状況となっており、先日もトロムソ郊外で熟練スキーヤーが雪崩にのまれて亡くなりました。

 ちなみに昨年は異常なほどの大雪で、遊牧中のトナカイが自力で食べ物を見つけることができず、全国で16万頭ものトナカイが餓死したそうです。群れの全滅を防ぐため、トナカイ所有者は群れのいる雪原までヘリコプターで飼料を運んでいました(写真、ノルウェーテレビ局によるもの)。温暖化による不安定な気候、年によって大きく異なる気温と降水量は、遊牧のトナカイと同時に野生動物にも大きな脅威となっています。