ストールフィヨルド市、西側道路

 ストールフィヨルドの市役所、学校、診療所、警察など、市の公共機関のある集落は全てフィヨルドの東側にあります。石ノ谷集落はフィヨルドの西側にあり、地元の人はリュンゲンフィヨルドの西側地域をそのまま ”西側” と呼んでいます。ストールフィヨルドには数年前までは番地がなく、郵便物の届け先は、”カワウソ郷、太陽岬” とか “カワウソ郷、大草原”、”カワウソ郷、石ノ平” といったような絵本に出てくるような可愛らしい(?!・・・というか、冗談というか)ものばかりでした。地元の郵便屋さんは、どこに誰が住んでいるのかよく知っているので、手紙の配達も ”大草原のOOさん” だけで十分だったのですが、さすがにこれではカーナビにもグーグルマップにも出てこないので地域外の人の訪問を受けるにはちょっと不便でした。ストールフィヨルドでは、新しく移住してくる人がいる

と、市長さんはじめ市の職員のみなさんが歓迎会を開いてくれるのですが、歓迎会の案内に会場は “集会所” としか書かれておらず、場所を探し当てるのを苦労した覚えがあります。 

 

 数年前からようやく番地が割り振られるようなり、番地をつけるにはまず道に名前をつける必要がありました。”西側” の唯一とも言える道路は県道868号線なのですが、それでは住所に使えないので、県道には新しく、その名も “西側道路” という名前がつけられました。なので私の住所も、”カワウソ郷、アザラシ岬” から晴れて “郵便番号9046、カワウソ郷、西側道路1784番地” となりました(写真は旧アザラシ岬周辺)。

 住所には市名・集落名は含まれず、石ノ谷集落は西側道路の1400番台から1700番台に相当します。しかし、地元の人に場所を尋ねるのなら番地を言うより集落名を告げる方が効率的です。また、カーナビがなくても、市境や集落境には道路脇にそれぞれ集落の名前が記された標識が立っているので、とりあえず集落までたどり着くことは可能です。一つの名前が3ヶ国語で書かれているのでちょっと戸惑うかもしれませんが。写真は西側道路脇に立つ石ノ谷集落の標識です(上からノルウェー語、サーメ語、フィンランド語)。